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無過失責任主義:責任の所在

無過失責任主義とは、文字通り過失がなかったとしても責任を負うという考え方です。損害を与えた側に故意や不注意といった落ち度が全く認められない場合でも、損害が発生したという事実のみで賠償責任が生じます。これは、損害を被った人の保護を第一に考え、損害を公平に分かち合うことを目指す考え方です。具体的な例を考えてみましょう。自動車を運転中に、不意に子供が道路に飛び出してきて、避けきれずに事故を起こしてしまったとします。この時、運転手に速度超過や周囲への注意不足といった落ち度がなく、事故を避けようと最善を尽くしたとしても、子供が怪我をした場合、運転手は無過失責任主義に基づき賠償責任を負う可能性があります。この考え方の根底には、損害を受けた人の立場を重視し、受けた損害をきちんと回復させるという目的があります。損害を与えた側に悪気がなかったとしても、損害が発生したという事実こそが重要視されるのです。そのため、損害を与えた側は、責任を逃れることが難しくなります。無過失責任主義は、主に自動車事故の分野で適用されることが多いです。自動車は、使い方によっては大きな損害を与える可能性があり、かつ、交通事故は被害者が大きな損害を被る可能性が高いからです。このような事故の場合、被害者を守るために無過失責任主義が適用され、損害の賠償が迅速に行われるように配慮されています。しかし、無過失責任主義が適用されるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。例えば、損害が発生したこと、損害と加害行為との間に因果関係があることなどです。これらの条件を満たさない場合には、無過失責任主義は適用されず、損害賠償責任は発生しません。つまり、無過失責任主義は、常に適用されるわけではないということを理解しておく必要があります。