中皮腫:知っておくべき基礎知識

保険を知りたい
先生、「中皮腫」って聞いたことがないんですけど、どんな病気なんですか?

保険アドバイザー
「中皮腫」は、肺やお腹の中にある臓器を包む薄い膜から発生するがんです。この膜は「中皮細胞」という細胞でできていて、ここからがんができるんだよ。

保険を知りたい
肺やお腹を包む膜…ですか? 具体的な臓器でいうと、どこになりますか?

保険アドバイザー
例えば、肺だと肺の表面を覆っている胸膜、お腹だとお腹の中を覆っている腹膜、心臓だと心臓を包む心膜などから発生します。これらの膜は全て中皮細胞でできているからね。
中皮腫とは。
保険の用語で「中皮腫」というものがあります。これは、体の中の臓器を包んでいる薄い膜を作っている細胞から発生するがんです。この膜を作っている細胞を中皮細胞と言います。
中皮腫とは

中皮腫は、体の臓器を包む薄い膜、中皮から発生するがんです。この中皮は、心臓や肺、胃や腸など、大切な臓器を守る役割を担っています。中皮を構成する細胞が、何らかのきっかけでがん化する事で、中皮腫が発症します。他の種類のがんと比べると、患者数は少ないと言われていますが、発症すると体に大きな負担がかかる可能性があります。ですから、中皮腫についてきちんと理解し、早く見つけて早く治療につなげることが大切です。特に、アスベスト(石綿)と呼ばれる物質を吸い込むことが、主な原因として知られています。そのため、アスベストを扱う仕事に就いていた人や、過去にアスベストのある環境で暮らしていた人は、より注意が必要です。また、生まれつきの体質や、その他の要因が関係している可能性も指摘されています。中皮腫は、発生する場所によって、胸膜中皮腫、腹膜中皮腫、心膜中皮腫といった種類に分けられます。種類によって現れる症状や治療方法が変わるため、専門の医師による正しい診断と治療が欠かせません。中皮腫は、進行が比較的ゆっくりながんとも言われていますが、早期発見が難しい場合もあり、見つかった時には病気が進んでしまっていることも少なくありません。ですから、体に少しでも異常を感じたら、すぐに病院で診てもらうことが重要です。早期発見のために、定期的な健康診断も有効な手段となります。また、アスベストに曝露した可能性がある方は、専門の医療機関に相談し、検査を受けることをお勧めします。治療法は、手術、抗がん剤治療、放射線治療など様々ですが、患者さんの状態に合わせて最適な治療法が選択されます。近年では新しい治療法の開発も進んでおり、治療の選択肢も広がってきています。中皮腫は決して他人事ではありません。正しい知識を持ち、早期発見、早期治療を心掛けることが重要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 体の臓器を包む薄い膜(中皮)から発生するがん。 |
| 中皮の役割 | 心臓、肺、胃、腸など大切な臓器を守る。 |
| 発症原因 | 主な原因はアスベスト(石綿)の吸入。生まれつきの体質やその他の要因も関係している可能性あり。 |
| 種類 | 発生場所によって、胸膜中皮腫、腹膜中皮腫、心膜中皮腫に分類。種類によって症状や治療法が異なる。 |
| 特徴 | 患者数は少ない。進行は比較的ゆっくりだが、早期発見が難しい場合もあり、発見時には病気が進行していることも少なくない。 |
| 早期発見の重要性 | 早期発見・早期治療が重要。体に異常を感じたらすぐに病院で受診。定期的な健康診断も有効。アスベスト曝露の可能性がある場合は、専門医療機関への相談と検査推奨。 |
| 治療法 | 手術、抗がん剤治療、放射線治療など。患者さんの状態に合わせて最適な治療法を選択。近年、新しい治療法も開発され、選択肢が広がっている。 |
主な原因

中皮腫は、胸膜、腹膜、心膜などの体腔を覆う中皮細胞から発生するがんです。このがんの主な発症原因は、石綿(アスベスト)へのばく露です。石綿は、かつて建材をはじめ、様々な製品に広く使われていた天然の鉱物繊維です。この石綿の微細な繊維が、呼吸などによって肺の中に吸い込まれると、肺の表面や胸膜、腹膜などに付着し、長い年月をかけて中皮細胞に悪影響を及ぼし、がん化を引き起こすと考えられています。
石綿は、建物の解体工事や、鉱山の採掘作業などで、過去に多く使用されていました。そのため、これらの職業に就いていた人は、石綿にばく露する機会が多く、中皮腫を発症する危険性が高いとされています。具体的には、建設作業員、造船作業員、鉱山労働者などが挙げられます。また、石綿は建材以外にも、ブレーキの部品、断熱材、パッキンなど、様々な製品に使用されていたため、日常生活でもばく露する機会がありました。さらに、石綿を取り扱っていた家族の衣服などに付着した石綿繊維を吸い込むことで、間接的にばく露する事例も報告されています。そのため、家族に石綿関連の職業に就いていた人がいる場合も、注意が必要です。
石綿以外にも、中皮腫の発症に関係していると考えられる要因はいくつかあります。例えば、遺伝的な要素や、一部のウイルスの感染、放射線へのばく露などが挙げられますが、石綿のように確かな関連性は確認されていません。
現在、日本では石綿の使用は法律によって厳しく制限されています。しかし、過去に使用された石綿がまだ建材などに残っている可能性があるため、引き続き注意が必要です。特に、古い建物の改修工事や解体工事を行う際には、石綿へのばく露を避けるための適切な対策を講じることが重要です。
| 中皮腫の原因 | 詳細 | 関連する職業など |
|---|---|---|
| 石綿(アスベスト)へのばく露 (主要な原因) |
建材をはじめ様々な製品に使用されていた天然鉱物繊維を吸入することで、中皮細胞ががん化する。 | ・建設作業員 ・造船作業員 ・鉱山労働者 ・石綿関連の職業に従事する家族 |
| 建物の解体工事や鉱山の採掘作業などで、過去に多く使用されていた。 | ||
| ブレーキ部品、断熱材、パッキンなどにも使用。 | ||
| 家族の衣服に付着した石綿繊維を吸い込むことによる間接的なばく露も報告されている。 | ||
| 遺伝的要素 | 確かな関連性は未確認。 | – |
| 一部のウイルス感染 | 確かな関連性は未確認。 | – |
| 放射線へのばく露 | 確かな関連性は未確認。 | – |
症状と診断

中皮腫は初期段階では自覚症状が乏しく、発見が遅れがちです。最初の兆候は、風邪によく似た症状であることが多く、咳、微熱、息苦しさなどが現れます。これらの症状は、よくある呼吸器の病気と見分けにくいため、見過ごされる可能性が高いと言えます。病気が進むにつれて、胸や背中に痛みを感じたり、呼吸が困難になったりします。また、食欲が低下し、体重が減ることもあります。お腹に発生する腹膜中皮腫の場合は、腹部に痛みや張りを感じ、便秘になったり、お腹に水が溜まったりすることもあります。
中皮腫かどうかを調べるには、まず胸やお腹のレントゲン検査や、コンピュータ断層撮影(CT検査)、磁気共鳴画像装置(MRI検査)などを行います。これらの検査である程度の診断はできますが、確定診断には、胸腔鏡検査や腹腔鏡検査が必要です。これらの検査では、胸やお腹の中に小さなカメラを入れて観察し、中皮から組織の一部を採取します。採取した組織は、顕微鏡で詳しく調べられ、がん細胞の有無や種類を特定する病理検査が行われます。中皮腫は他の種類のがんと見分けることが難しい場合もあるため、専門の病理医による診断が重要です。さらに、中皮腫は石綿(アスベスト)との関連性が非常に高いため、医師は過去の仕事内容や生活環境についても詳しく聞き取りを行います。
| 症状 | 検査 | 確定診断 | 医師の診察 |
|---|---|---|---|
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治療方法

悪性中皮腫の治療は、病気の進行具合や患者さんの体の状態によって様々です。主な治療法としては、手術、抗がん剤を使う治療、放射線を使う治療があります。
まず、手術について説明します。手術は、がんのできものを切り取る治療法で、早期発見の場合に非常に効果的です。しかし、悪性中皮腫は発見された時には病気がかなり進行している場合が多いため、手術ができない場合も少なくありません。
次に、抗がん剤を使う治療について説明します。これは、抗がん剤でがん細胞を攻撃する治療法です。手術ができない場合や、再発した場合などに用いられます。患者さんの状態に合わせて、適切な抗がん剤の種類や量、投与方法が決まります。
それから、放射線を使う治療について説明します。これは、放射線でがん細胞を破壊する治療法です。がんによる痛みなどの症状を和らげることを目的として用いられることもあります。
近年では、これらの一般的な治療法に加えて、新しい治療法の開発も進んでいます。例えば、特定の分子を狙い撃ちする薬を用いた治療や、体の免疫の力を利用してがん細胞を攻撃する治療などが注目されており、臨床試験も行われています。これらの新しい治療法は、これまでの治療法では効果がなかった患者さんにも効果が期待されています。
悪性中皮腫の治療は、専門的な知識と技術を持った医療チームによる、様々な治療法を組み合わせた集中的な治療が重要です。患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法を選ぶために、専門の医師とじっくり相談することが大切です。
| 治療法 | 説明 | 適応 |
|---|---|---|
| 手術 | がんのできものを切り取る。 | 早期発見の場合に非常に効果的。ただし、発見時に進行している場合が多く、手術ができない場合も少なくない。 |
| 抗がん剤治療 | 抗がん剤でがん細胞を攻撃する。 | 手術ができない場合や、再発した場合など。 |
| 放射線治療 | 放射線でがん細胞を破壊する。 | がんによる痛みなどの症状を和らげることを目的とする場合もある。 |
| 新しい治療法 | 特定の分子を狙い撃ちする薬物療法や、体の免疫の力を利用した治療など。 | これまでの治療法では効果がなかった患者さんにも効果が期待される。 |
予防と早期発見

石綿は、かつて建材などに広く使われていましたが、のちに発がん性があることがわかり、今では多くの国で使われなくなりました。しかし、古い建物などにはまだ石綿が残っている場合があり、注意が必要です。特に、建物の解体や改修工事を行う際には、石綿が含まれているかどうかをしっかりと確認し、適切な処置をすることが大切です。石綿を取り扱う仕事をしている人は、粉塵を吸い込まないように防塵マスクや防護服をきちんと着用し、安全に作業を行うように心がけましょう。
石綿によって引き起こされる病気の一つに中皮腫というがんがあります。このがんは、初期の段階ではなかなか自覚症状が現れにくく、早期発見が難しいとされています。そのため、かつて石綿を扱っていた仕事に就いていた人や、石綿が使われている可能性のある場所で働いていた人は、定期的に健康診断を受けることが重要です。特に、胸部レントゲン検査やCT検査は、中皮腫の早期発見に役立ちます。また、咳や息切れ、胸の痛みといった症状が続く場合も、早めに病院で診察を受けましょう。早期に発見できれば、手術などで治る可能性が高まります。
中皮腫の予防には、石綿に近寄らないことが一番大切ですが、健康的な生活習慣を維持することも重要です。栄養バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を行い、十分な睡眠をとることで、体の抵抗力を高めることができます。また、喫煙は、中皮腫を含む様々ながんの危険性を高めるため、禁煙することが強く推奨されます。日頃から健康に気を配り、早期発見を心がけることで、中皮腫などの病気から身を守りましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 石綿の危険性 | 発がん性があり、古い建物などに残っている場合があるため注意が必要。特に解体・改修工事時は石綿の有無を確認し適切な処置が必要。石綿を取り扱う際は防塵マスク・防護服を着用。 |
| 中皮腫 | 石綿によって引き起こされるがんで、初期症状が現れにくく早期発見が難しい。石綿を扱っていた/石綿が使われている可能性のある場所で働いていた人は定期的な健康診断(胸部レントゲン、CT検査など)が必要。咳、息切れ、胸の痛みなどの症状が続く場合は早めに診察を受ける。 |
| 中皮腫の予防 | 石綿に近寄らないことが一番大切。健康的な生活習慣(栄養バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠)を維持し体の抵抗力を高める。喫煙は中皮腫を含む様々ながんの危険性を高めるため禁煙が推奨される。 |

