規制・ルール 保険における保有の意味
「保有」とは、簡単に言うと、何かを自分のものとして持ち続けることです。買った本を本棚にしまう、もらった手紙を大切に保管する、といった行為も広い意味では保有と言えます。私たちが日常何気なく行っているこの「保有」という行為は、保険の世界でも重要な役割を担っています。保険会社は、契約者から集めた保険料を元に、事故や病気、災害などで契約者が損害を被った際に保険金を支払います。これは、いわばお金を出し合って、もしもの時に助け合う相互扶助の仕組みです。保険会社は集めた保険料を運用して利益を得ますが、同時に大きなリスクも抱えています。一人ひとりの契約者にとっては滅多に起こらない事故や病気でも、多くの契約者全体で見ると、ある程度の確率で発生します。もし、短期間に大きな事故や災害が続けて発生した場合、多額の保険金を支払わなければならず、保険会社の経営が不安定になる可能性も出てきます。そこで、保険会社は自社の財務体力を超える大きなリスクを抱え込まないために、「再保険」という仕組みを利用します。これは、保険会社が引き受けた保険契約の一部、あるいは全部を別の保険会社(再保険会社)に引き渡すことで、リスクを分散する仕組みです。再保険を利用することで、保険会社は自社で「保有」するリスクの割合を調整し、経営の安定化を図ることができます。一方で、保険会社は保険契約の一部を自社の責任として「保有」します。これは、保険会社がリスク管理能力を示す重要な指標であり、経営の健全性を示す証でもあります。保有するリスクの割合は、保険会社の財務状況や経営戦略によって異なります。保険会社は、将来の予測に基づき、適切なリスク管理を行いながら、契約者への責任を果たす役割を担っているのです。