
企業価値を高めるERM入門
会社をうまく経営していくためには、危険を予測し、備えることがとても大切です。そのための方法として、統合的危険管理というものがあります。これは、会社全体で起こりうるあらゆる危険をまとめて把握し、対処していく方法です。以前は、それぞれの部署で別々に危険管理を行うことが一般的でした。例えば、営業部は売上減少の危険、製造部は製品事故の危険、経理部は資金繰りの危険といった具合です。しかし、このような個別の対応では、会社全体としての危険の状況を把握しきれず、思わぬ大きな損失につながる可能性がありました。統合的危険管理では、お金に関する危険、事業運営に関する危険、災害による危険など、会社に関わるあらゆる危険を、部署の垣根を越えてまとめて管理します。それぞれの部署でバラバラに対応するのではなく、会社全体で危険の状況を共有し、対策を考えることで、より効果的に危険を減らすことができるのです。例えば、大雨による浸水の危険があったとします。従来の方法では、それぞれの部署が個別に浸水対策を行うかもしれません。しかし、統合的危険管理では、会社全体で浸水の危険度を評価し、優先順位の高い部署から対策を行うなど、より効率的で効果的な対策を実施できます。このように、統合的危険管理によって、会社は予期せぬ損失を最小限に抑え、安定した事業活動を続けることができるようになります。会社の規模に関わらず、危険管理の全体像を把握し、組織全体で対応していくことが、会社の成長と発展には不可欠と言えるでしょう。