個別再保険

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任意再保険:柔軟なリスク管理

任意再保険とは、その名の通り、保険会社が自社の負担する保険の危険の一部を、他の保険会社(再保険会社)に移す際に、個々の契約ごとに合意に基づいて行う再保険のことです。例えば、ある保険会社が火災保険を販売し、大きな工場の火災保険を引き受けたとします。この工場は非常に規模が大きく、万が一火災が発生した場合、保険会社にとって莫大な保険金の支払いが発生する可能性があります。このような巨大な危険を単独で抱えることを避けるため、保険会社は他の保険会社に、この工場の火災保険リスクの一部を分け合うことを提案できます。これが任意再保険です。任意再保険では、保険会社は特定の契約について、再保険をかけるか、どのくらいの金額を再保険に出すかを自由に決めることができます。例えば、先ほどの工場の火災保険の場合、保険会社はリスクの半分だけを再保険に出すことも、3分の1だけを再保険に出すことも、あるいは全く再保険に出さないことも可能です。これは、あらかじめ定められた割合や条件に基づいて自動的に再保険をかける義務が生じる特定再保険とは大きく異なります。特定再保険では、保険会社は契約内容にかかわらず、一定のルールに従って再保険に出さなければなりません。一方、任意再保険では、再保険を依頼する保険会社と再保険を引き受ける保険会社の間には、契約を結ぶ義務はなく、あくまで自由な意思決定に基づいて取引が行われます。そのため、再保険を依頼する保険会社は、再保険金額、再保険料、その他の契約条件などを個別に交渉し、決定する権利を持ちます。また、再保険を引き受ける保険会社も、提示された条件で再保険を引き受けるかどうかを自由に判断できます。つまり、再保険を依頼する保険会社は再保険を断られる可能性もあるということです。この柔軟性こそが任意再保険の大きな特徴と言えるでしょう。